不動産会社にとってInstagramは、ポータルサイトに依存しない自社集客をつくれる、数少ない現実的な手段です。
不動産事業者200名を対象にした調査では、活用しているSNSは「Instagram」が最多で38.5%、その目的は「自社サイトの集客」が73.0%と最も多くなっています。
一方で同じ調査では、SNS運用に課題を感じている事業者が4分の3以上にのぼることも示されています。
つまり「始めること」ではなく「成果につながる形で続けること」が分かれ目になっているのが実情です。
この記事では、不動産会社が実際に投稿できるアイデアと、不動産業だからこそ注意すべき広告ルール、そして少人数でも回せる運用体制の作り方まで、順を追って解説します。
目次
なぜ今、不動産会社にInstagramなのか
まず前提として、Instagramは日本国内で人口の半数近くにリーチできる巨大なメディアです。
DataReportal「Digital 2025: Japan」によると、2025年初頭時点でInstagramの日本国内の広告到達は5,750万人で、総人口の約46.5%に相当します(Meta広告ツールに基づく推計値)。
前年から3.6%増と今も伸び続けており、すでに生活インフラに近い規模のメディアだといえます。
家探しの入り口がポータルサイトから広がっている
前述のスペースリー調査によると、現在最も集客できている方法は「ポータルサイト」が52.5%で最多でした。
ところが「今後より力を入れていく集客方法」を聞くと、「自社サイト」が58.0%でトップに入れ替わります。
掲載料の負担や他社との差別化のむずかしさから、自社で集客の受け皿を持ちたいと考える会社が増えているとわかります。
その自社サイトへの入り口として選ばれているのがInstagramであり、これが活用SNS最多38.5%という数字の背景です。
「やっているけれど成果が出ない」会社が多数派
同調査では、SNSの運用体制は「自社ですべて行っている」が67.8%と最多でした。
そしてInstagramの運用課題として最も多く挙がったのが「投稿コンテンツの品質」で41.6%です。
外注する予算はないので自社で運用を試みるものの、専任者がいないので投稿の質が上がらない、という構図がはっきり表れています。
裏を返せば、投稿の質を保ちながら無理なく続ける仕組みさえ作れれば、多数派から抜け出せる余地が大きい領域だといえます。
不動産集客にInstagramを活用する5つのメリット
1.間取り図や写真で「暮らしのイメージ」まで伝えられる
不動産は「住んだあとの生活」を想像できるかどうかが、問い合わせにおいて重要な要素です。
文字情報が中心のポータルサイトでは、この部分を伝えきれません。
朝日が入るリビング、洗濯動線、ベランダからの眺めといった要素は、写真や動画のほうが圧倒的に伝わります。
2.まだ動いていない潜在層と接点を持てる
ポータルサイトを見ているのは「今すぐ引っ越したい人」がほとんどです。
一方Instagramには、「いい部屋があれば動こうかな」という段階の人が多くいます。
この層と早い段階でつながっておくと、いざ動くときに真っ先に思い出してもらえます。
3.エリア×条件のハッシュタグや位置情報で見つけてもらえる
Instagramは検索的に使われる場面が増えています。
「#渋谷 賃貸」「#吉祥寺 一人暮らし」のように、地域名と組み合わせたハッシュタグから物件を探すユーザーがいます。
位置情報を付けておけば、そのエリアを調べている人の目にも入ります。
4.DMやコメントで内見前のハードルを下げられる
「電話や来店はまだ気が引ける」という人でも、DMなら気軽に質問できます。
やり取りの段階で人柄が伝われば、来店時にはすでに信頼関係ができている状態です。
5.ポータルサイトに依存しない集客資産になる
ポータルサイトへの掲載は、止めた瞬間に反響がゼロになります。
対してInstagramのアカウントは、投稿とフォロワーが積み上がっていく自社の資産です。
すぐに効果は出ませんが、続けるほど掲載料に左右されない集客の土台になります。
不動産会社のInstagram活用方法7選
1.物件写真は「1投稿1テーマ」でカルーセルにまとめる
カルーセル機能で、画像は最大20枚まで並べられます。
1枚目は表紙です。物件名ではなく、「西日暮里 徒歩8分/2LDK/12.8万円/ペット可」のように、エリア・駅距離・間取り・家賃・売りを1つ載せます。
2枚目以降は、内見の動線どおりが基本です。例えば、玄関や廊下、リビング、水回り、居室、収納、バルコニー、共用部と続ければ、自然と10枚前後に収まります。
そして、間取り図を入れて番号を振ると、以降の写真がどこを撮ったものかすぐわかります。
単身向けなら収納量、ファミリーなら駐車場、中古戸建てならリフォーム履歴と、種別で見せる順を変えます。
最後の1枚は「DMで空室状況をお答えします」という導線を設置することで、問い合わせにつなげられます。
2.リール動画でルームツアーを投稿する
玄関から各部屋を回る15〜30秒のリール動画は内見の疑似体験になり、フォロワー以外にも表示されやすいのが利点です。
撮影のコツは4つです。
- 午前中に照明をすべて点けてカーテンを開ける
- 部屋の隅から対角線を撮る
- スマホは縦に構え目線の高さで固定する
- 内見と同じ順路で歩く
動画の冒頭1秒に「家賃9万円台でこの広さ」のように数字か希少性を置くと、離脱が減ります。
また、音を消して動画を見る人が多く、家賃・間取り・駅距離のテロップは必須です。
3.エリア情報や暮らしの情報を発信する
物件情報だけのアカウントは、ポータルサイトと変わらずフォローされません。
物件紹介は投稿全体の半分以下に抑え、残りをエリア情報や暮らしのヒントに充てます。
学生なら24時間営業のスーパーや終電、社会人なら通勤時間の実測、ファミリーなら学区の境界や小児科と、ターゲットごとにネタを変えます。
とくに反応が取れる可能性があるのが「実際に歩いてみた」系です。
徒歩分数は道路距離80mを1分として計算するため、信号待ちや坂道は含まれません。
「表示は9分、実測は11分」という投稿は、規約を守りつつ本当に知りたい情報を届けられます。
初期費用の内訳や入居審査で見られる点など、毎日答えている質問もそのままネタになります。
4.スタッフや接客の様子を見せる
「誰が対応してくれるのか」がわかると、来店の心理的ハードルが大きく下がります。
不動産は「怖い」「強く勧められそう」というイメージを持たれやすい業種です。
だからこそ、人が見えるだけで差がつきます。
担当者の自己紹介、内見に向かう車内から見た街の様子、繁忙期の朝、「入社1年目の私が接客でやってしまった失敗」、掲載許可を取ったお客さまの声、「初期費用はなぜこの金額になるのか」の解説。
どれも大手にはない距離の近さを伝えられます。
顔出しに抵抗があれば、手元だけ、後ろ姿、声だけでも十分です。
宅地建物取引士であることや、その地域での営業年数を添えると信頼にもつながります。
5.ハッシュタグは「エリア×物件種別×価格帯」で組む
数百万件あるような大きなタグだけでは、すぐに埋もれます。
「#日暮里賃貸」のように地域名を必ず入れた中小規模のタグのほうが、狙った人に届きます。
タグの規模は、検索窓に打ち込めば投稿数が表示されます。
なお、ハッシュタグを30個掲載するよりも、関連性の高い3〜5個のハッシュタグに絞るのが、検索で見つけてもらうためには効果的とされています。
5個しかないからこそ、エリア/間取り/ターゲット/特徴/自社名と枠の役割を決めて組みます。
単身向けなら#日暮里賃貸/#1K/#一人暮らし/#駅近物件/#○○不動産といった具合です。
6.プロフィールとハイライトで問い合わせ導線をつくる
投稿の次に見られるのはプロフィールです。
「名前」欄には社名だけでなくエリアと業態を入れます。
「○○不動産|日暮里の賃貸」とすれば、Instagram内で「日暮里 賃貸」と検索した人に見つけてもらえます。
自己紹介文には、強み・営業時間・問い合わせ導線をまとめて書きましょう。例えばこんな内容です。
自己紹介文例)
| 日暮里の賃貸専門/創業○年 ペット可・楽器可の物件多数 宅地建物取引士が対応 平日10:00-19:00/水曜定休 ▼空室一覧はこちら リンク設置 |
リンク先は、Webサイトのトップページではなく、物件一覧か問い合わせフォームにします。
そしてハイライトには、空室一覧、初期費用、内見の流れを並べます。受け口はDMだけにせず、LINEや電話も併記すると取りこぼしが減ります。
7.Instagram広告でエリアを絞って配信する
届く範囲を広げたいならInstagram広告もあります。
費用相場は月3万〜60万円程度、クリック課金(CPC)で30〜200円前後、インプレッション課金(CPM)で1,000回表示あたり500〜3,000円程度が目安です。
不動産の場合はエリアを絞って配信できる点が大きく、まずは1日1,000円程度から試して反応を見る進め方が現実的です。
単身向けなら半径3〜5km+近隣の大学に関心がある18〜24歳、購入層なら子どもがいる30〜45歳、売却なら売却ページ訪問者への再配信が使えます。
賃貸は1〜3月の繁忙期に集中させると効率的に広告配信できます。
不動産のInstagram運用で注意すべき4つのポイント
ここは他業種にはない、不動産会社だからこそ押さえておきたい部分です。
1.成約済みの物件を投稿したまま放置しない
すでに契約済みの物件をInstagramに掲載し続けると、「おとり広告」とみなされるおそれがあります。
おとり広告は、架空物件・成約済み物件・取引意思のない物件の広告を指し、不動産の表示に関する公正競争規約で禁じられています。
違反すると、不動産公正取引協議会から違約金が課され、その額は初回50万円以下、2回目以降は最大500万円と規定されています。
事業者名の公表やポータルサイトへの掲載停止に至るケースもあります。
SNSは投稿を残しておきたくなりますが、成約後は削除するか、目立つ位置に成約済みである旨を明記する運用にしてください。
2.表示規約はSNS投稿にも適用される
「SNSだからカジュアルでいい」という考えは通用しません。
物件情報や取引条件を含む投稿は広告と扱われ、徒歩分数(80mを1分として換算)、築年数、面積などの表示ルールが同じように適用されます。
「駅徒歩1分」と書くなら根拠が必要ですし、「完全防音」「絶対に後悔しません」といった断定的な表現も避けます。
動画内で口頭説明した内容も広告に含まれる点に注意してください。
3.居住中の物件はプライバシーに配慮する
入居者がいる状態の写真や動画には、表札、郵便物、洗濯物、隣家の窓などが写り込みます。
撮影前に許可を取り、公開前に必ず確認する手順を決めておきましょう。
4.文章での詳細な情報発信には向かない
Instagramのキャプションは初期表示が短く、長文は読まれません。
契約条件や設備の細かな仕様は、自社サイトの物件ページに任せる役割分担が適切です。
Instagramは「興味を持ってもらう場所」、自社サイトは「検討してもらう場所」と切り分けてください。
成果が出ない不動産アカウントに共通する3つの原因
原因1:ポータルサイトの物件情報をそのまま転載している
ポータルサイトと情報が同じなら、ユーザーがわざわざフォローする理由がありません。
Instagramには「暮らしのイメージ」を、ポータルサイトには「条件検索」を、と役割を分けることが前提です。
原因2:投稿のデザインがバラバラで信頼感が伝わらない
その都度つくると、文字の大きさも色も配置も揃いません。
プロフィールを開いたときの一覧表示がちぐはぐだと、それだけで「ちゃんとしていない会社」に見えてしまいます。
前述の調査で運用課題の1位が「投稿コンテンツの品質」(41.6%)だったのは、この問題が広く起きているためです。
原因3:投稿づくりに時間がかかり、続かない
物件を登録し、写真を選び、デザインツールで加工し、文章を書き、ハッシュタグを付けて投稿する。
この一連の作業を1件あたり30分〜1時間かけていては、繁忙期に真っ先に止まります。
「自社ですべて行っている」が67.8%という数字は、裏を返せば止まりやすい構造を多くの会社が抱えているということです。
手作業の運用と、仕組み化した運用の違い
| 項目 | 手作業で運用 | 仕組み化して運用 |
| 1投稿あたりの作業 | 写真選定・加工・文章作成を毎回ゼロから | 登録済みの物件情報から投稿を生成 |
| デザインの統一感 | 担当者や日によってばらつく | 常に同じテイストで揃う |
| 投稿ネタ | 毎回考える必要がある | 新規物件がそのままネタになる |
| 属人化 | 担当者が辞めると止まる | 誰でも同じ品質で回せる |
| 繁忙期 | 真っ先に止まる | 通常業務の延長で続けられる |
Instagram運用が続かない原因の多くは、担当者のやる気ではなく「物件登録」と「投稿作成」が別作業になっていることにあります。
物件情報を登録した時点で投稿の素材が揃うようにしておけば、投稿にかかる時間は選んで送るだけになります。
不動産会社向けのホームページ作成ツール「Reblo」と連携する「リブポス」は、まさにこの部分を自動化する仕組みです。
物件登録と同時にInstagram投稿が自動生成されるため、デザインの知識がなくても統一感のある投稿がそのまま完成します。
生成された内容は編集もできるので、テンプレートに縛られすぎることもありません。
既存のホームページを乗り換える必要はなく、Instagram連携の機能だけを追加できます。
物件登録だけでInstagram投稿がたった30秒で自動生成【リブポス】
Instagramの運用を始める前のチェックリスト
- Instagramで達成したいゴール(問い合わせ数・自社サイト流入)を決めた
- ターゲット(一人暮らし/ファミリー/購入検討層)を1つに絞った
- プロフィールに対応エリア・取扱物件・問い合わせ方法を記載した
- リンク先を自社サイトの物件一覧または問い合わせフォームに設定した
- ハッシュタグをエリア・物件種別・価格帯で分類して用意した
- 投稿頻度を週1〜2回など、無理のない範囲で決めた
- 成約済み物件の投稿を削除・修正する担当とタイミングを決めた
- 居住中物件の撮影許可と、公開前チェックの手順を決めた
- 見る指標をフォロワー数ではなく「保存数」「プロフィール遷移数」「DM数」にした
よくある質問
Q1.成果が出るまでどのくらいかかりますか?
継続的な運用でおおむね3〜6か月、本格的な成果が見えるのは半年〜1年程度が一般的な目安とされています。
物件の成約サイクルを考えると、すぐに反響が来ないのは異常ではありません。
最初の1〜2か月は土台づくりの期間と割り切り、投稿を止めないことを優先してください。
Q2.運用代行に依頼するといくらかかりますか?
Instagram運用代行の費用相場は、月額5万円〜50万円程度と幅があります。
投稿制作のみか、戦略設計や分析まで含むかで大きく変わります。
予算が限られる場合は、外注する前に「自社で続けられる仕組み」を整えるほうが費用対効果は高くなります。
Q3.フォロワーが少なくても問い合わせは来ますか?
来ます。
不動産は商圏が限られるため、全国に1万人のフォロワーがいるより、地域内に500人いるほうが価値があります。
追うべきはフォロワー数ではなく、保存数とプロフィールへの遷移数です。
Q4.写真の撮影は専門業者に頼むべきですか?
最初は不要です。
スマホでも、明るい時間帯に撮る、カーテンを開ける、水平を意識する、部屋の隅から広く撮る、の4点を守るだけで見え方は大きく変わります。
まず投稿を継続し、反応が取れる型が見えてから投資を検討してください。
まとめ
不動産会社のInstagramは、ポータルサイトに依存しない自社集客をつくるための現実的な手段です。
一方で、活用している事業者の多くが「投稿の品質」と「継続」でつまずいています。
物件紹介一辺倒にせずエリア情報を混ぜること、成約済み物件の放置など不動産特有の広告ルールを守ること、そして物件登録と投稿作成を切り離さない仕組みをつくること。
この3点を押さえられれば、少人数の会社でも十分に戦えます。
「SNSをやらなければ」が積み残しのタスクになっているなら、まずは投稿づくりの手間を減らすところから見直してみてください。
