先日、コラムを書いているメンバーから記事のチェック依頼が来ました。
我々は文章の書き方や構成に慣れるまで作成した記事を誰かにチェックしてもらってからアップロードしています。
自分一人ではなかなか難しい文章の組み立てや「第三者に伝わるか」という点をチェックし、誤字脱字がないかなどを確認するのです。
ということで、添付されていたファイルを確認していたところ、どうも気になる表現が。

「デメリットはないのですがデメリットはあります」

・・・・うん?

きっと頭の中では正しい文章があるために目の前の文字も同じように補完してしまったのでしょう。
実際、人間は文字を一文字一文字追っているわけではなく「塊」として認識しているため、最初と最後の文字が合っていれば後は脳内で補完して文章が読めてしまう、なんて説が流行ったことがあります。
その「なんとなく読めてしまう現象」を「タイポグリセミア現象」と言うのですが、
これを利用した都市伝説というかインターネット上の噂ではありますが
有名なコピペがこちら。

こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんき です。
この ぶんょしう は いりぎす の ケブンッリジ だがいく の けゅきんう の けっか
にんんげ は もじ を にしんき する とき その さしいょ と さいご の もさじえ あいてっれば
じばんゅん は めくちちゃゃ でも ちんゃと よめる という けゅきんう に もづいとて
わざと もじの じんばゅん を いかれえて あまりす。
どでうす? ちんゃと よゃちめう でしょ?
ちんゃと よためら はのんう よしろく

よく見るとメチャクチャな文章ですが、きちんと読めてしまう不思議。
意外と人間の脳は騙されやすいのか、それとも逆に高度な処理能力を持っていると言えるのか。
脳内で正しい文章として無意識に組み替えて読み進めてしまうわけですね。
ちなみに、短い文章であるとこのタイポグリセミアが発動しきちんと読めますが、長い単語や文章だとNGとのこと。
日本語だとひらがなで6文字程度の単語で発動しやすいと言われています。

そんなわけで、今回はこの「ちゃんと読んだ筈なのに」を防ぐ推敲のススメです。

推敲とは

テストの時、提出する前に最後に見直しをすることが肝心!そんなアドバイスを受けたことはないでしょうか。
推敲も文章を書く上で大切な工程の一つです。

文章の意味は通っているか
同じ表現が何度も繰り返されていないか
正しい文章の繋がりであるか
具体的に書かれているか

上記のようなポイントを意識して文章を読み直してみましょう。
なお、誤字脱字を直したり誤変換を訂正することは「校正」と言います。
似ているようですが推敲と校正は別の言葉なんですね、ご存知でしたか?

パーツ・段落ごとに見直す推敲方法

長い文章をいきなり全部一度に見直そうと思っても、細部までは目が届きにくいものです。
なんせ書いたのも構成するのも自分ですから、脳内には文章のパターンがインプットされてしまっています。
そんなときは「段落ごと」や「一文ごと」に遂行してみることをオススメします。

短い文章を見直すと、その文章だけできちんと意味が通じるかどうか、特におかしな接続詞を使っていたり具体化されていない部分が残っていたりすることに気が付きやすくなります。

今日はとても長い時間を使って沢山の文章を書くことができました。

今日は、4時間かけて10,000字のコラムを書き終えることができました。

後者の方がより具体的になっていますね。
「沢山」や「とても」の定義は人によってバラバラですので、今ひとつ説得力に欠けてしまいます。
想像力を掻き立てるための手法であればOKですが、物事を伝えるための部分で使うのであれば数字や具体的な要素が必要です。
こうして読み手にとって情報が不足していないか、その一文できちんと言いたいことが伝わっているかを確認しながら作業を進めます。

1日寝かせたカレーが美味しい戦法で推敲する。

2日目のカレーって美味しいですよね。
同様に、味が染みた2日目の豚汁が大好きです。

それはさておき、1度書いた文章をカレーのように「寝かせてみる」のはいかがでしょう?
全く別の作業をする、時間を置くなどを経て脳内をリセットし、初めて見る感覚で文章を再び読んでみると新たな発見があるかもしれません。

言い回しのおかしな点に気づくかもしれませんし、漢字の間違いや誤字・脱字に気づくかもしれません。

同じ作業をしていると頭の中で文章を組み立てて行くために「合っているものとして」読み飛ばしてしまう傾向が強くなります。

締め切りまでに余裕があるのであれば、本当に1日置いてみるのも良いでしょう。
私の場合もいくつかの記事を同時に書き始め、締め切りに合わせて時間差でチェックしています。

記事をパーツごとに作成していくことも多いのでこの手法を取るのですが、表現がわかりにくかったり文章が繋がっていないところを改めて読み直すことで発見できるためオススメです。

URLやスペルにミスはないか確認する。

この間、街を歩いている時あるショコラティエの前に揺れるノボリの文字が気になりました。

「ラグビーボール型の、Lugbyショコラ新発売」

Googleさんで検索するとご丁寧に「もしかしてrugby」と検索窓の下に出るやつですね。
もしかしたらrugbyとlargeか何かをかけ合わせた造語の可能性も・・・・・!!

いや、ラグビーボール型のって言っちゃってました。
ということは・・・。

このように、プリントアウトしてから「しまった!」と気付いてもなかなかリカバリーは難しいものです。
言い回しや、特に英単語などを使用する場合にスペルミスは起こさないように注意しましょう。

  • 電話番号
  • FAX番号
  • 英単語
  • URL

上記は打ち間違いが多くなる要注意ポイントです。

出来上がったノベルティの電話番号が一桁間違っていたことに気付いたときの絶望感と言ったら・・・
また、参照したURLやリンク先などの場合は間違いがないか一度クリックして確認する事が大切です。
特にお店を紹介したり、「コレは良かった!」をシェアしようと思っている記事でURLや電話番号の間違いがあると台無しになってしまいます。

結論、読み手が第一である。

ブログにしてもコラムやお知らせにしても、表に出すということは「自分以外の誰か」に読んでもらうことを目的としているということです。
主語と述語や、いつの間にか今日の話と昨日の話題がごちゃまぜになって時間軸がわからなくなっていないかなど、第三者の目線で見直してみると良いでしょう。
いっそのこと、誰か別の人に読んでもらうのもアリだと思います。
自分ではわかっている言い回しも、他の人が見ると「?」になるかもしれません。
特に話し言葉で書く癖のある人は要注意。
「いちよう」ではなくて「一応」ですし、「こうゆう」ではなくて「こういう」です。

伝わりやすい文章を目指す第一歩として、まずは「読み直す」!
推敲を何度か重ねるだけでも、具体化し説明を加えることで文字数が増えるでしょうし、表現力も磨かれていきますよ。