アフターコロナの不動産事業のマーケティング戦略
ここ数年間で世界は劇的な変化が発生しました。
さまざまなことがありましたが、最も身近なことといえば、コロナウイルスの世界的蔓延による人々の移動制限ではないでしょうか。
人と顔を見合わせて会話をすることが困難になり、生活環境が一変しました。
この生活環境の変化はビジネスにも暗い影を落としました。
今まで当たり前のようにお客様と接していたことができなくなり、webを利用しての接客や会議、出社ではなくリモートでの勤務など、もはや市民権を得たのではないでしょうか。
このように、コロナによって変遷したビジネス環境下で、不動産業者が対応すべきマーケティング戦略を解説いたします。
消費者の状況と不動産業界の環境変化
具体的にコロナによって、消費者の動向と不動産業界にはどのような環境変化が発生したのでしょうか。
感覚的にIT化が進んだような気はしますが、不動産業界の実態をマーケティングの観点から客観的に深堀りしていきます。
コロナ禍によって変化した消費者の消費行動
不動産業界のマーケティング戦略を知るうえで、消費者の消費行動を知ることは非常に重要です。
コロナ禍を経て消費者の消費行動はどのように変わったのでしょうか。
消費者の消費行動を如実に表すデータはありません。
しかし、移動制限によりおうち時間が増えたことで、対面での購買活動からインターネットを利用した購買活動に変遷したのではないかという予想はできそうです。
EC市場の事業規模は、経済産業省のデータによれば以下のように推移しています。
出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
物販系分野とデジタル系においてEC事業は大きく伸びましたが、サービス系分野においては伸び悩みがみられます。
これは、移動規制により旅行産業や外食産業自体が低迷したことが関係していると考えられます。
総じて、消費者がインターネットを利用する可処分時間および分野ならびに方法が増加した、ということはどうやら間違いなさそうです。
不動産業界におけるIT化の状況
一般財団法人不動産テック協会が発行している不動産テック カオスマップによれば、2020年6月度に公表されたカオスマップ登録件数は352社であってにもかかわらず、2022年8月度に公表されたデータでは、430社にまで増加していることがわかります。
出典:一般財団法人不動産テック協会 不動産テックカオスマップ
このことからも、日本社会全体でIT化が進んでいることに対して、不動産業界においてもIT化の波は着実に押し寄せてきているといえるでしょう。
逆に申し上げれば、不動産業界でもアフターコロナにおいてIT化を活用・駆使したマーケティング活動は避けて通ることのできないことと考えることができそうです。
不動産業界のマーケティングにおけるIT化ツールの種類と具体的活用方法
コロナ以前より不動産仲介業におけるマーケティング手法の主流は、インターネットを活用したものでしたが、昨今はその風潮がさらに強くなった、ということがいえます。
そこで、インターネットを活用したマーケティングツールと有効的な活用方法を解説していきます。
ポータルサイトのマーケティング方法
不動産業界でも仲介業をメインにされている会社では、マーケティングにおいて集客面が最も重要なポイントではないでしょうか。
SUUMOやホームズなどのポータルサイトへの物件掲載により、反響を取得するというスタイルが不動産仲介業のメインどころです。
しかし、反響を得られなければ、来店予定を組むことも商談をすることもできません。
まずは、反響数を具体的に増加させる方法を解説いたします。
基本情報が掲載されているか
ポータルサイトへ物件を掲載する前に、会社情報やスタッフ情報という基本的な情報が整備されているかを確認しましょう。
会社独自の強みは何か、店舗の写真は適切か、空中店舗であれば外観よりも接客スぺースの写真も必須です。
応対するスタッフの顔写真やプロフィールも重要です。
よりホスピタリティを重視するのであれば、お客様が担当者を指名するなどの配慮があると、女性のお客様などに対しての大きなアピールポイントになるでしょう。
スピーディな物件登録ができているか
反響取得においては、一覧PVおよび詳細PVを向上させることがマーケティング上では必要です。
他社が掲載していない物件を掲載することが最短距離ですが、専任物件ばかりを掲載できるはずはありません。
そこで必要な手法は、スピーディに物件登録を行うことです。
新着物件を常時チェックし、掲載が可能な物件であれば迅速に登録掲載を行うことで、他社との差別化を図ることができます。
とりわけ、物件の回転期間が早い賃貸仲介部門では効果的な手法です。
ターミナル駅であれば、掲載物件の平均他社掲載数を5店舗以下にすることが望ましいでしょう。
掲載物件とマーケットの関係を把握しているか
掲載物件の入替時期やどの物件を落とすかが、最も重要な課題です。
その課題を解決するためには、マーケットの需要と掲載物件の位置関係を把握する必要があります。
例えば、一覧PVが高く詳細PVが低い場合は、市場ニーズが高い一方で競合物件が多いことが考えられます。
このステージに掲載物件があるときは、さらにニーズを突出させる工夫が必要です。
新しい設備の追加提案、ペット飼育や事務所利用、インターネット敷設など物件を埋没させない工夫が効果的でしょう。
逆に、一覧PVが低く詳細PVが高い物件はニッチな市場にマッチしているといえるでしょう。
この場合は、あまり手を加える必要はありません。
反響が取れない物件として入れ替えるのではなく、待つほうが得策であると考えられます。
分析の方法は簡単です。
一覧PVと詳細PVにKPIを持たせる方法がよいでしょう。
地域や時期による変動もありますが、1日の1物件あたりのPV数として、一覧PVが15以上、詳細PVが1以上程度が妥当なKPIと考えられます。
この分野はマーケティングが数値化できる部分ですので、積極的に実施するべき項目です。
ホームページを活用したマーケティング方法
ポータルサイトを活用しての集客は王道ではありますが、莫大な費用がかかることがデメリットといえます。
そこで、不動産業界におけるマーケティング戦略では、ホームページを強化することが有効です。
ホームページは「とりあえず作ったらそこで終わり」にしている会社が多数あると思われますが、本当に集客に強い会社はホームページからの集客に強みを持っていることがほとんどです。
エンドユーザーは物件を探すときに、「〇〇市 〇〇駅 分譲マンション」や「〇〇市 〇〇駅 賃貸」という検索ワードを利用することがわかっています。
さらに、ポータルサイトへ問い合わせにおいては、1人が問い合わせをする件数として、3社5物件に問い合わせをするというデータもあります。
ポータルサイトで反響を取得した時点でライバルが2社いるため、来店に結び付かず反響がなかなか売上に直結しないことに悩まされることが考えられます。
そのため、エンドユーザーの検索ワードから、地場で不動産を探されるお客様を確実に取り込むホームページを作成することは、時間がかかるもののマーケティング戦略としては非常に有効であると言わざるを得ません。
さらに、ホームページをマーケティングの大黒柱にすることで、さまざまなシステムやツールとの連携が可能になります。
ホームページの見直しなくして、マーケティングを語ることはできません。
ホームページ上の物件は最新のものかどうか
ポータルサイトの物件更新は行っているが、ホームページの物件更新をしていない会社は、今すぐにホームページの物件更新を行いましょう。
現在では、物件管理ツールも安価で良いものがたくさん存在しています。
ポータルサイトやホームページとの物件連動も簡単に実現可能です。
ホームページの物件情報も常に最新のものでなくてはいけないことに注意しましょう。
ホームページを育成できているか
何の更新もされていないホームページは、検索上位に出てくることはありません。
検索して上位に表示されるように、ホームページを育成することがマーケティングでは大きな意味を持ちます。
具体的な育成方法は多数ありますが、まずは分析ツールを活用してPV数を確認しましょう。
分析ツールは多数ありますが、Googleアナリティクスなどは無料で利用でき使い勝手も良いと評判です。
ホームページ内のコンテンツのうち、PV数が明らかに低いページや、直帰率や離脱率(ページを開いたが、すぐに別のページに移動もしくは画面を閉じてしまった率)の高いページから順番に魅力あるコンテンツに改変していくのです。
この地道な作業の繰り返しによってSEO対策がなされ、検索上位に自社ホームページが表示されることとなり、反響取得に繋がることになるのです。
また、コラムコンテンツは積極的に更新しましょう。
完成見学会やセミナーから、雑記ブログ的なものまで、営業色の濃淡を調整しながら定期的に更新する方法がおすすめです。
なお、物件更新の自動化ツールや顧客管理システムと親和性が高く、コンテンツを簡単に更新可能なホームページをお探しの方は、是非こちらをご確認ください。
リーズナブルな料金と高い機能性を兼ね備えたハイブリッドなホームページの作成には、実績のある会社の商品がおススメです。
ITを活用した追客マーケティング方法
お客様とコンタクトがとれたとしても、すぐに売上になるわけではありません。
追客はいつの時代も必要ですが、とりわけアフターコロナの時代にあったIT追客は競合他社との差別化にも有効です。
お客様の趣味や活動時間を把握できているか
追客と聞くと、閉店後の電話営業をイメージする営業担当者も多いのではないでしょうか。
しかし、不動産業界にもIT化の波が押し寄せてくるにつけ、主導権がお客様側にある状態に。
お客様に営業電話を差しあげても、対応いただけないことも多いのではないでしょうか。
追客問題は、顧客管理システムを導入して解決することができます。
自動追客機能を活用すればメールを自動的にお客様に送信し、定期的な接点を維持し続けてくれます。
また、メールが開封されたタイミングを通知してくれる機能や、お客様がホームページのどのページを閲覧されたかなど、お客様の趣味や活動時間を可視化してくれるシステムも存在します。
このような顧客管理システムを活用して、お客様の温度感や深層心理を理解したうえで、適切な活動時間にコンタクトをとることが重要です。
お客様に不要なストレスを与えることなく、商談へ誘導することが可能になります。
お客様をメールマガジンなどで育成、行動履歴をITで把握、主たる活動時間に架電で来店誘導。
デジタルとアナログを融合させることが、不動産業界における追客マーケティング成功の秘訣です。
お客様の活動時間が遅い場合は、時差出勤なども効果的です。
会社全体で集客と追客をバックアップする体制も整えましょう。
また、顧客管理システムを導入する場合や導入してからは、必ずカスタマーサクセスと定期的に打合せをすることが必要です。
導入目的と効果を定点観測し、他社と比較して優れているところと劣っているところを理解することで、対策が具体化するということを忘れてはいけません。
多様な追客方法を活用できているか
お客様への追客方法は電話だけではありません。
メールやSMSなど、多様な方法を持つべきです。
IT化に伴いマーケティングも幅が広くなっています。
さらにコンタクトの方法ごとに深化した工夫がないと、お客様のハートを掴むことは困難です。
- メールのタイトルはお客様のアクションを喚起させるものになっているかどうか。
- 会社や部署のメールではなく、営業担当者個人のメールからも送信しているか。
- メールや電話で反応がない場合、SMSまで送信できているか。
- リンクの貼付箇所は、スクロールせずにクリック可能か。
確認すべき項目は多岐にわたりますが、アフターコロナのマーケティングを制するためには、どれも最低限必要な確認事項です。
マーケティングを制する者は不動産業界を制する
マーケティングはどの業界でも事業に欠かせない重要な要素です。
そして、目まぐるしい変化が生じている現代では、その手法も日に日に進化させなければなりません。
不動産業界は慣例や法律が厳しく、非常にレガシーな業界です。
このレガシーな業界であるが故にITやDXという言葉だけでアレルギーが生じそうなものですが、最近のシステムやホームページは非常に使いやすく、親和性の高いものばかりです。
不動産業界でマーケティングにお悩みの方はぜひ業務環境を一新してみることをおすすめいたします。
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