一人や小さな不動産屋の集客戦略
宅建士を保有していれば、自身で不動産屋を開業することもできます。
しかし開業当初は従業員を雇えるほどの財力もないことから、一人で始めることに不安を思う方も多いのではないでしょうか。
「集客がうまくいく自信がなく、すぐに倒産してしまうのでは」と考えている方も多いです。
確かにレッドオーシャンである不動産業界を生き抜くためには、戦略的な集客が求められます。
とはいえ集客さえ効率的に行うことができれば、ビジネスが成功することにもつながります。
そこで今回は、小さな不動産屋が行うべき集客方法と注意点を紹介します。
またこれから不動産屋の起業を検討している方に向けて、始める際に行うべき5つのポイントを紹介します。
小さな不動産屋が集客するための方法
不動産取引適正推進機構が発表した「令和 3 年度末宅建業者と宅地建物取引士の統計について」のデータを確認すると、不動産会社の新規開業者は6,609社に対し、廃業数が5,155社となっています。
入れ替わりが激しい業界で小さな不動産屋が生き残るためには、顧客獲得が一つのカギです。
ここでは小さな不動産会社が集客する方法の中で、一人でも取り組みやすい方法を3つ紹介します。
SNSによる顧客獲得
若い世代だけでなく、年配の方でも利用し始めているSNSで集客する方法です。
多くの企業でもSNSで広告宣伝や集客を行っています。
具体的にはTwitterやインスタグラム、Youtubeなどの媒体で、顧客のためになる情報やお得な内容を告知し集客します。
SNSを利用する場合、企業側が発信したい内容を伝えても、顧客の目には届かない可能性が高いため、顧客のニーズを叶える内容であることが大切です。
ポータルサイトの活用
スーモやアットホームなどの不動産ポータルサイトの活用は必須です。
引っ越しを検討している方や土地の購入を検討している方の多くは、インターネットで詮索している方がほとんどです。
もちろん掲載するには有料となりますが、フォーマットが決められているため、掲載する手間が少ないメリットがあります。
一方で他の物件や企業と差別化が図れないため、目に留まるような工夫が難しいデメリットもあります。
とはいえ、優良物件の仲介ができるようになると、大手の不動産会社と競争して勝つことも可能です。
他社との差別化を図る
他社との差別化を図ることで、集客につなげることが可能です。
具体的には以下のような戦略が挙げられます。
- 売買の仲介手数料を3%から1.5%にする
- 賃貸の仲介手数料を家賃1か月分の半分にする
- 物件管理手数料を5%から3%にする
- IoTに特化した物件紹介を行う
上記の他にもさまざまな差別化を図る方法が挙げられます。
目に見てわかりやすいのは、手数料の値下げです。
不動産の売買は大きな金額の取引であるものの、譲渡所得税や不動産所得税などの課税対象になりやすく、納税額も高額になります。
売主と買主は少しでも支出を抑えたいと思う方も多いため、他社より仲介手数料が安ければ、依頼するメリットが明確になり顧客獲得につなげることが可能です。
もちろん会社の利益に反映されるため、無理のない設定が必要です。
しかし大手企業と比べると認知度や信頼度も低いため、差別化は必須となるでしょう。
非効率な集客方法
小さな不動産会社は、「初年度に売上を出さないと倒産する」というプレッシャーから非効率な集客方法を行うケースも多いです。
非効率な集客を積み重なって行うと、売上も低くなる可能性も高いため注意が必要です。
ここでは代表的な非効率の集客方法を3つ紹介します。
飛び込み営業
飛び込み営業は時間効率と作業効率が悪いため、おすすめできる集客方法ではありません。
近年では飛び込み営業は減ったものの、大手の会社では未だに一つの営業方法として使用している場合もあります。
しかし顧客一人に対して訪問する方法は、時間がかかるうえ、成約率が低い傾向にあるため、効率性が非常に悪いです。
もちろん開業する前に飛び込み営業をメインとして売り上げを挙げてきた実績がある方は、経験値もあるでしょう。
しかしインターネットの普及により、多くの方へ一度に情報発信することが可能です。
一人の顧客に対して密な営業も悪くはありませんが、小さな不動産会社は企業体力も少ないため、効率性を優先して売り上げを意識しましょう。
ポスティング営業
チラシの作成代やポスティングを委託する費用を考慮すると、決して効率性が高いとはいえがたい集客方法です。
もちろん効果は見込めるかもしれないため、一概には言えないものの、チラシをもらった方の多くは捨てられてしまいます。
さらに目に留まらない顧客や、不特定の方に届いてしまうデメリットもあるため、無駄なポスティングに繋がる割合の方が高くなります。
顧客に長く執着しない
顧客を他社と競合した場合、長く執着すると効率性が下がる傾向にあります。
小さな不動産会社は大手と比較して知名度も低いため、信用力も低く、一般的には不利な状況です。
もちろん手数料の差額で競合他社と勝負できることもありますが、結果他社で契約することになった際、時間の無駄だったということにもなるでしょう。
そのため顧客に長く執着せず、次の案件に注力した方が良いケースも多いです。
小さな不動産が集客する際の注意点
非効率な集客方法について紹介しましたが、その他にも注意すべき点があります。
小さな不動産会社は以下の3つに注意しながら集客しましょう。
キャパオーバーになる可能性がある
一人や少人数であるからこそ、キャパオーバーになる可能性もあります。
賃貸と売買、不動産管理を一人で行おうと思っても、業務量の多さから人手不足になり、失敗につながる場合もあります。
会社が大きくなれば、従業員を雇って解消できますが、小さな会社のうちは、人件費さえ惜しい費用となるでしょう。
そのため、不動産屋を開業する際に、「売買」「賃貸」「管理」の中で軸を決めておくことが大切です。
顕在客と潜在客を見極める
小さな不動産会社は、売上げを意識するあまりに、顕在客と潜在客の判断ができなくなる可能性も高いです。
顕在客とは今すぐ購入や売却を検討している顧客のことで、潜在客は中長期に検討している顧客を指します。
特に不動産の売買は、「将来的に購入・売却を検討している」「とりあえず売却するならいくらになるのか知りたい」という潜在客が多いです。
潜在客に営業しても、時期的な要因や人的な要因から決断に時間を要するケースもあるため、顕在客を優先する必要があります。
とはいえ潜在客も将来的には顕在客になる可能性も高いため、顧客管理を行いながら見極めることが大切です。
費用対効果を考慮する
集客ツールとしてSNSや広告など、さまざまな媒体が挙げられますが費用対効果を考慮しておきましょう。
毎月の費用ばかりがかかってしまい、集客につながらなければ意味がありません。
費用が掛かる集客ツールを利用する場合は、ランニングコストを考慮し、無理のない金額であるかを見極めることが大切です。
小さな不動産会社を始める際に行うこと
これから不動産会社を開業する方は、集客だけに注力するのではなく、社内体制を構築しておくことも大切です。
会社である以上、固定費は必ず発生します。
少しでも固定費を抑えることで会社の利益に繋がるため、これから紹介する5つの対策を検討しておきましょう。
マーケティング調査を行ってから起業する
どのビジネスでも該当しますが、不動産業界は特に地域密着型の業種であるため、開業するエリアのマーケティング調査は必須です。
一例として以下のような調査を行います。
- 人口増加率(人口の数ではなく、人口が増えていることが大切)
- 商業施設の開業や区画整理事業の予定の有無
- 近隣企業の撤退予定の調査
不動産業は需要があるエリアでなければ、利益を生み出すことができません。
土地を購入したい方や賃貸物件を探している方、投資物件を探している方の需要でビジネスが成り立ちます。
何もないエリアでは競合他社が少ないものの、集客や営業につながりません。
開業する前にエリアマーケティング調査を行うようにしましょう。
定型業務のシステム化
定型業務システムの導入は人件費削減につながります。
顧客からの連絡などを自動化することで、社員を雇う必要もなく、自身が返信する時間と手間を削減できます。
さらに社員数の多い企業は、システムの導入を会議で決めますが、人数が少ない企業ほど導入数も少なくコストが削減できるため、実用化しやすいメリットがあります。
近年では一定数までの無料でメッセージが送れるシステム(公式LINEなど)もあります。
顧客数が少ないのであれば、コストを掛けずに定型業務のシステム化が可能です。
開業するタイミングで導入できれば、スタートダッシュの成功にもつながるため、ぜひ検討してみましょう。
オンライン(電子化)の導入
賃貸と売買の契約は電子化で行うことが2022年より可能となったため、時間短縮の削減につながります。
以前は押印と書面(紙)による交付が義務だったため、対面して契約する必要があり、移動する手間と費用、時間がかかりました。
しかし押印義務の廃止や書面交付義務の緩和によってオンライン契約が可能となったことから、不動産業を開業する場合は電子化に対応できるようにしておくべきでしょう。
ただし契約する企業が電子契約の対応をしていない場合もあるため、紙媒体での契約も行えるようにしておいてください。
横のつながりを大事にする
個で働く時代であるものの、不動産業界は同業者との横のつながりが大切です。
不動産会社はみな競合他社でありながらも、全国宅地建物取引業協会連合会や全日本不動産協会に加入し、日々情報交換を行っています。
特に加入した団体の会員同士の仲が良く、顧客を紹介しあうほど横のつながりが強い傾向にあります。
顧客に対して「売買を依頼するならあの会社」「あの会社は優秀だから紹介する」というケースも多いため、団体の会合などに参加し、他社との関係も強くすることが大切です。
自社ホームページは必須
自社ホームページは集客のためだけでなく、会社の信頼度にもつながるため必須です。
不動産業者は信用力が大切な業種です。
ホームページのない不動産会社は、どこか怪しさを感じる方も多いのではないでしょうか。
大きな取引であるからこそ、顧客からの信頼を獲得する必要があるため、用意しましょう。
まとめ
今回は、小さな不動産屋が行うべき集客方法と注意点、始める際に行うべき5つのポイントを紹介しました。
不動産会社はポータルサイトの活用はもちろん、SNSによる集客を行うことで、老若男女に情報発信することができます。
とはいえ、SNSを活用している競合他社も多いため、差別化を図れるポイントが重要です。
手数料の安さや付加価値のある物件情報の所有など、顧客から選ばれる要素で集客しましょう。
また集客ばかりを意識するのではなく、社内のシステム化やオンライン化の導入などを行うことで、効率よくビジネスを行うことも可能となります。
これから不動産屋を起業する方は、事前に具体的な集客戦略や経営方法を検討しておくようにしましょう。
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